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コロナと政治の私物化

「葦の葉ブログ2nd」より転載

 五輪開催が目前に迫る中、菅政権の対応は混乱と同時に不透明さも増すばかり。コロナ騒動に紛れて、政権運営そのものに切り込むような論評は余り目につきません。わたしもサイト移転に書きましたような事情で、思うところは山のようにありましたが、今日まで更新ができませんでした。サイト移転にまつわる様々な事情や体験なども近かいうちにご報告したいと思いますが、本日はまずは、目下の諸情勢について発信することにいたします。

0. 都知事選雑感

サイト移転でご報告しましたように、様々な事情が重なり、前回6月17日に東京五輪受難の真相を公開してからあっという間に一月近くが経ちましたが、事態はさらに悪化しつつあります。

混乱の極みの中で実施された東京都議選も、都民の偽らざる気持ちが反映されたように思います。小池都知事は、大坂維新のようにマスコミに公共事業を回してマスコミの都政批判を封じるという卑劣な手法は使っていないはずです。もしもそんな手を使ったならば、その手口そのものが暴露されるはずですが、そんな報道は皆無です。それどころ、マスコミのトレンドとしては小池批判オンリーに近い。

あるいは、口封じのための公共事業欲しさに、ガンガン小池批判を展開しているのかもしれませんが、もしもそうならば、マスコミは百害あって一利なしという存在になりますね。という推測(邪推?)を招くほどに、日本のマスコミの維新府政に対する偏向、隠蔽姿勢は余りにも異常だということですが、ある意味、言論弾圧を明確にしている中国の習近平体制よりも危険ではないかと思います。維新は吉本興行とも提携して、お笑い路線での維新宣伝までしているという。

日本の言論、報道の自由を守るためには、公共事業にマスコミが参加・関与することを禁止する法律が必要ではないかと思います。ここまでしないと日本のマスコミの公正さを維持することは不可能なほど、言論の土台が崩れてしまっているというのが、偽らざる現状ではないかと思います。

わたしは小池氏を支持も不支持もしていませんが、日本では非常に珍しい、政治的野心を抱いている女性として非常に興味を持っています。性格的には万人に好かれるようなタイプではなさそうですが、都知事としては、大阪府の吉村知事(松井市長)の悪政ほどひどくはないのではと思われます。マスコミ報道では、吉村知事=善政、小池知事=悪政との印象が強いですが、この報道そのものも信用できないというのが日本の現実です。

参考:戦犯は「橋下維新」。大阪のコロナ医療崩壊を招いた知事時代の愚策 2021.05.18 大村大次郎 MAG2 大阪を「子供が育てられない都市」にした橋下維新の大失政、これが“ファクト”だ 2021.07.05 大村大次郎 MAG2

なお以前、維新絡みで紹介しました、サウナ持ち込みをはじめ庁舎を自宅代わりにしていた市長は富田林市の市長ではなく、池田市の富田市長でした。最近、やっと市長を辞職したとの、一段ベタの小さな記事を発見して間違いに気づいた次第。お詫びして訂正します。近くに阪大もある文教都市池田市で、こんな異様な人物が市長として選ばれていたとは驚愕の一語。マスコミと一体化した維新の洗脳力には、あらためて寒気が走ります。

とはいえ、本号のテーマは「日本のマスコミ」ではなく、「政治の私物化とコロナ」ですので、本論に入りたいと思います。

1. 在日米軍基地とコロナ

数週間前の西日本新聞の夕刊に、沖縄の米軍基地における米兵に対するコロナ規制の大幅緩和に関する記事が出ていました。アメリカ本土でもワクチン接種が進んだことで、規制が大幅に緩和されているようですので、在日米軍基地でも同様の措置がなされたとの印象の記事でした。

「印象」と書いたのは、細部までは覚えていないからですが、記事も保存していない上に、つい最近新聞を廃品回収に出したばかり。西日本新聞のWeb版で探しましたが、公開されている6月11日までの夕刊には該当するような記事は見つかりませんでした。

ただ非常にはっきりと記憶しているのは、米兵はワクチン接種をしているので、PCR検査は一切しないという決まりのようなものを米軍側が一方的に設定しているとのことでした。米軍基地内ならば、どんな決まりでも日本側では関知も関与も無用ですが、基地外に出る米兵も同様の基準だという内容でしたので、ここまで米軍の治外法権が許されるのかと、驚きと怒りを覚えた記事でした。

この決まりはワクチンの効果を絶対視したもので、ワクチン接種後にコロナに感染したという事例が公になることを防止することが目的ではないかとさえ思われるものでした。

記事の現物で確認せずに、わたしの曖昧な記憶だけでここまで書いていいのかとの迷いもありましたが、わたしの記憶がほぼ間違いないことを証明してくれそうな、時事通信や朝日新聞、沖縄タイムズの古い記事を発見しました。アメリカでもまだワクチン接種がさほど進んでいない時期の記事ですが、その頃ですら、米軍は日本ではやりたい放題!

感染者数、ブラックボックス化 在日米軍10万人、沖縄は「例外」 2020年07月20日 時事通信 見えないコロナ、見えない米軍の情報 沖縄で募る不安 2020年7月12日 朝日新聞 米軍のコロナ対応、日韓で差 日本・入国時の検査を交渉中 韓国・詳細開示とPCR2回 2020年7月23日 沖縄タイムズ

ワクチン接種後の規制緩和は在日米軍基地においても当然なされていることは間違いないはずです。なぜわたしが、この記事の確認にかなりの時間を割いたのかと言えば、沖縄や東京などでコロナ感染が急拡大している要因の一つに、米軍基地の関与があるのではないかと疑っているからです。

沖縄は観光地なので観光客からの感染も拡大要因の一つだと思いますが、最近急激に、沖縄に観光客が押し寄せたというニュースは見聞きしていません。にもかかわらず、東京で感染が再拡大する前から、沖縄での感染拡大が急激なのは、観光客だけが原因ではないはずです。

沖縄基地の米兵のうち、3分の1ぐらいが基地外に住んでいるらしいですが、ワクチンを接種していれば、PCR検査はなどは一切無用、規制も緩和です。

しかしワクチンの防御能力は完璧ではないことは紛れもない事実です。 米国でワクチン接種後コロナ感染5800件発生…0.008% 4/16(金) Yahooニュース

さらについ最近、五輪出場のため来日したイスラエルの選手がコロナに感染していたことが判明しています。世界的に見ても接種率の高いイスラエルですので、当然ワクチンは2回接種済みのはずですので、ワクチン接種後の感染だと見て間違いないはずです。ワクチンの効能を疑わせるようなこの件に関する報道も非常に限定的ですので、詳細は不明。

同様の事例が沖縄をはじめ、東京や神奈川など、各地にある在日米軍基周辺でも発生していても不思議ではありません。基地外に居住していたり、基地外に出入りする米兵に対しては、日本人並みの規制(ゆるい規制とはいえ)を受けるべきではないかと思いますが、日本政府は日本国民より米軍が大事だという、超隷従姿勢です。

一方、在韓米軍は昨年から現在まで、日本とは対照的な対応をしています。

米軍の感染情報開示、韓国との落差 危機感高まる沖縄  2020年7月13日 朝日新聞 韓国の米軍は謝罪 沖縄の米軍は? 米兵らがマスクなしパーティーで分かれた対応の“差” 2020年12月18日 沖縄タイムズ 「ワクチン接種に関係なく」在韓米軍、23日まで遊興施設出入り禁止 2021/7/9(金) Yahoo(中央日報)

この米軍によるコロナ対応に関する日韓の差は、日本にとっては屈辱そのもの。日本政府は心底恥ずべきだと思いますが、日本政府は、対米隷従こそがわが命の保証とでも考えているようです。そしてこの隷従ぶりを明確に批判しない日本のマスコミも、対米隷従の共犯だと見るべきでしょう。

つまり、米軍基地からの感染拡散を野放しにしている状況下では、5波とまでは言えないにせよ、感染拡大を阻止することは不可能だということです。菅総理も西村大臣も日本国内にあるコロナ感染源の一つである米軍と米兵に対しては何もできない無能ぶりを晒しているわけですが、マスコミがほとんど報道しないので、その反国民的な売国姿勢も大半の国民の目には触れずに済んでいるわけです。

米軍は、米国産のモデルのワクチンの開発を先導し、同社が巨利を得るための強力な支援者でもありました。ちなみにモデルナは、アメリカ政府から約9億5630万ドル/約1040億円も支援を受けています。

そのモデルナに関して、コロナとコウモリの「4. 日本のバイオベンチャーはなぜ潰されるのか」に以下のMITの記事を紹介しましたが、 史上最速のワクチン実用化、生みの親が語るmRNA技術の未来 2021.04.23 MIT Tech Review 同記事には、モデルナのバンセルCEO(最高経営責任者)の、以下のような驚くべき言葉が紹介されています。

バンセルCEOは、メッセンジャーRNAのテクノロジーの準備が整ったちょうどその時に新型コロナウイルス感染症が台頭したことについて、「歴史的に見てもめったにないことです」と言う。 言い換えれば、私たちは幸運であったのだ。

mRNAはアメリカのペンシルベニア大学のカタリン・カリコ准教授とドリュー・ワイズマン教授が20年のも間研究を続けてきて発見したものだそうですが、昨年まではどの医薬品にも利用されてこなかったという。しかしあっという間にスタンバイの本番OK ! まさに神業 ! 本番にぴったり間に合ったのも神の御加護があればこそ。この神様のお一人が米軍だったのではないでしょうか。

ちなみにドイツのビオンテックは、mRNA発見者のワイズマン教授に資金を提供、教授の発見を基にファイザーと共同でワクチンを開発したそうです。ファイザー・モデルナワクチンとも、ワイズマン教授が生みの親。

またワイズマン教授とは別の、独自の手法でmRNAワクチンを開発したドイツのキュアバックの創業者は、 トランプ氏も注目した製薬企業キュアバック 創業者は昨年に数週間の昏睡状態に 2021年3月25日 WS(ウォールストリートジャーナル) という不可解な事態に見舞われています。ロシアの反体制派の指導者が襲われた状況と似たような感じですが、不気味です。

その後は回復して中断を余儀なくされたワクチン開発を再開、治験実施まで終えたという。変異株が蔓延しているという悪条件下もあり、総体的な効果は48%、高齢者には余り効果はないものの、60歳未満では53%。中程度、重症者には77%の有効性あり。普通の冷蔵庫で保管可能という利点もあり。アメリカのメディアでは、47%を強調する記事が多い一方、日本では、キュアバックのニュースそのものがほぼ皆無。 独キュアバックが下落 ワクチンの有効性が48%に留まる=米国株個別 Kabutan

ファイザーもモデルナも、変異株に対応したワクチンを次々と開発販売できそうです。となると、コロナに怯える世界中の人々は半永久的にコロナワクチンを打ち続ける必要がありますね。

インフルエンザがまさにそうですが、古典的なワクチンとは違い、mRNAワクチンの場合は、割合は非常に低いとはいえ、時には死者を出すほどの副反応もあります。それを半永久的に打ち続けるとはまさに悪夢ですが、製薬企業にとってはまさに濡れ手で粟のボロ儲け。

この極度の非対称性こそが、今回のコロナWARSの真相ではないのでしょうか。そしてこのコロナWARSでの、アメリカ単独での圧倒的な勝利を支えたのも、在日米軍基地だったのではないか。

アメリカに先行して日本で進んでいた、ワクチンや治療薬の開発を停止させたのも、日米合同委員会を介した在日米軍からの指示だったのではないか。仮にこれが根拠のない邪推だとしても、双方の政府を介さない超法規的な日米合同委員会の存在は、こういう邪推を招かずにはいない。日米合同委員会は即刻廃止すべきです。

日米合同委員会は反民主主義そのもの。アメリカが、かりそめにも民主主義国家の守護神であることを標榜しているのであれば、数ある同盟国や友好国の中で、日本にのみこんな反民主主義的な関係を強要することは恥ずべきことであり、即刻廃止すべきです。何か問題が発生したり協議が必要な時は、在日米軍司令官と日本の防衛大臣や、在日米国大使と外務大臣などがまず協議するのが筋ではありませんか。

もっとも、ことコロナに関しては、安倍元総理のアメリカへの強度な忖度によって、日本のワクチンや治療薬の先行開発が潰された可能性の方が高いようにも思われますが、いずれにせよ、日本政府の対米隷従に起因する点では同じですね。

ちなみに今日の(7/14)のRKBラジオで、元「サンデー毎日」の編集長が、日本でやっとコロナ治療薬としてのイベルメクチンの効果を確かめる実証実験が始まるとのこと。やっと米軍の許可が出たということなのかもしれません。 参考:本誌独占!ノーベル賞学者・大村智博士が激白45分「予防はワクチン 治療はイベルメクチン」〈サンデー毎日〉7/12(月)

元編集長によれば「NYタイムズ」は、WHOがイベルメクチンの公認を妨害しており、妨害の理由は、WHOはアメリカの製薬企業から多額の寄付を得ているので、米企業に損害を与えるような決定はできないと批判しているという。実際にイベルメクチンを使用して、その効能を実証したインドもこの薬を公認しないWHOを批判し、抗議文書も送っているという。しかし日本のマスコミは沈黙に近い。

2. コロナと五輪

とはいえ、五輪そのものもアメリア企業にとっては、ボロ儲けができる世紀の大イベントです。これも西日本新聞に出ていたのですが、米国向け五輪の放送権をもつNBCユニバーサルのジェフ・シェルCEOは「五輪に勝る番組はない。17日間、毎晩、(関心)を独占できるのだから」と語っているという。

同社は2011年から2020年の東京五輪までの夏冬両五輪の放送権を独占的に取得、さらに22年の冬季五輪から32年の夏季五輪までの放送権も独占的に取得。IOCに支払う放送権料は120億ドル(1兆3000億円)になるという。

五輪放送はIOCにとっても死活的に重要な収入源であるわけですが、NBCにとっても、代替不能な収入源になっているということです。世間ではもっぱらIOCの圧力のみが批判の対象になっていますが、おそらくNBCからも実施を強く求める要請があったはずです。

アメリカ政府も自国のNBCに損害を与えるような五輪中止までは望んでいなかったのではないか。コロナ蔓延はアメリカの製薬企業に前例のない莫大な利益をもたらしましたが、コロナのさらなる拡大を望み、NBCに莫大な損害を与えることになる、五輪を中止に追いやろうとは考えるとは思えません。

しかし、感染拡大も落ち着いていた東京は、五輪が近くづくにつれ感染が拡大。さすがの菅総理も無観客を決定せざるをえなくなりました。判断が遅すぎるとの批判もありますが、6月に入って感染が拡大した時期と、在日米軍の規制緩和時期とが重なっているのは偶然なのかどうか。この疑問が頭から離れません。

もしも米軍の規制緩和も感染拡大の原因の一つであれば、基地外の米兵の行動を、緩い日本の基準ですら規制できなかった日本政府の責任は重大です。

沖縄市・新型コロナウイルス感染症対策本部 在沖米軍基地内における発生状況【米軍基地内感染者数合計 1,473 名( 7月10日現在)】

政府は、在日米軍基地の、コロナ感染対策すら完全治外法権を認めながら、沖縄県に緊急事態宣言の延長だけを強制するとは余りにも無責任ではありませんか。米軍基地の7割が沖縄県に集中しているだけに、米軍基地経由でのコロナ感染拡大の被害は、沖縄県が最も大きいのは明らかです。

韓国政府並みの独立国家としての対等な関係も築けない政府など無用ではないですか。情けない。とはいえ、護憲を叫んでいる野党には、日本の独立など不可能ですし、政府批判も難しい。改憲を党是にしている自民党は超異常な対米隷従。どっちに転んでも日本の独立は実現不可能なのか・・・・。

「五輪とコロナ」を論ずるはずが、日本の独立の問題になってしまいましたが、コロナは日本政府の対米隷従姿勢こそが、日本の自力によるコロナ克服を阻害してきたことを結果として明らかにしたのではないかと思います。

コロナとコウモリの「4. 日本のバイオベンチャーはなぜ潰されるのか」でご紹介した<UMNファーマが開発した国産ワクチン「昆虫細胞とバキュロウイルスを使った遺伝子組み換えワクチン(ウイルス様粒子[VLP]ワクチン)」>は2014年に承認申請をしたにもかかわらず承認されず、同社は2017年に取り下げ。現在は塩野義製薬の子会社としてワクチン開発に従事しているらしい。

ボナックのコロナ治療薬も同様ですが、公正かつ迅速に承認していたならば、仮に不可解なコロナの拡大があったにせよ、もっと早期に終息に向けた実効性のある対応が可能だったと思います。他にも緑茶(日本の大学)や赤紫蘇(台湾)がコロナ退治に非常に有効であることも実証済みだとのことですが、最先端の遺伝子操作技術だけではなく、超古典的な生薬、植物由来の超安全な対抗薬などももっと大々的に治療薬としても導入すべきではないですか。

アメリカ製ワクチンの消費のみを国是とするな!と言いたい。 とはいえ、習近平独裁国家中国よりも、アメリカとの同盟こそが日本の発展と存続の大キモであることも強調しておきたい。

しかし五輪が近づくにつれ、東京での急激な感染拡大は余りにも不可解。いくら周辺に米軍基地が複数あるとはいえ、バイデン大統領の夫人が来日されるとのことですので、アメリカも五輪の無事な開催を望んでいるはずです。根本には政府(菅政権)のコロナ対応の無能ぶりがあるとは、その無能ぶりに乗じた、感染拡大を誘発する不自然な動きがあるのではないか。

参考:奈良県立医科大学 令和21125日 お茶による新型コロナウイルスの不活化効果について

令和2年5月14日 (世界初)オゾンによる新型コロナウイルス不活化を確認 (世界初)オゾンによる新型コロナウイルス不活化の条件を明らかにした。 https://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/ozon.html (上記二つの「世界初」の研究成果にはなぜかリンクが貼れません。)・・・このオゾン装置を使えば、飲食店でもマスクを外して飲酒も可能になるのではと思いますが。政府は飲食店を目の敵のようにして締め上げていますが、この研究に資金を投入して早急に実用化して、飲酒、飲食を可能にする環境を整えるべきではないのですか。

参考:京都府立医科大学 茶カテキン類による新型コロナウイルス不活化効果を試験管内の実験で確認  https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2021/20210615.html(こちらもなぜか直接のリンクが貼れませんので、URLを添付します。) お茶がコロナの感染力を低下 試験管内の唾液で確認、活用に期待(食品新聞) https://shokuhin.net/4380/2021/05/31/kakou/kenshoku/(こちらもリンクが貼れません。)

3. 祭りと寄付

7月3日の熱海を襲った土石流は、凄まじい、まるで巨大津波のようでした。家屋も130棟も破壊されたとは、言葉もありません。熱海は日本を代表する観光地の一つ。その地を凄まじい破壊力で超異常豪雨が直撃しました。

その惨状に被災地の方々が打ちのめされているその渦中、東京都下は都議選の真っ最中で、町田市議候補の応援に駆け付けた小泉環境大臣は、ご自分の職分を踏まえた、次のような発言をなさったという。

自分の職務に忠実な大臣の思いが表れた発言ですが、何か違和感も覚えますね。130棟もの家が破壊され、死者、行方不明者も出ている、超異常豪雨被害の発生したその当日の発言ですよね。まず「この雨が上がって」という表現は、現場の惨状とは余りにもかけ離れすぎていませんか。

静岡県の熱海で大変大きな崖崩れ、土砂崩れが発生しました。政府をあげて状況の確認をやっていますが、環境大臣の私の仕事はこの雨が上がって、状況が見えた後に災害の現場の廃棄物を担当することです。(小泉環境相は熱海災害を「私の仕事は雨が上がった後」と他人事 菅首相は都議選「勝利宣言」準備 AERA dot.2021年07月04日)

そして「状況が見えた後に災害の現場の廃棄物を担当すること」が、環境大臣としての自分の仕事だという発言。これは環境大臣としての小泉氏の仕事の中身だと思われますが、「廃棄物」とは被災者の人生の全てが破壊された、その被害の集積物、被害の塊ではありませんか。

熱海では史上例のないような超異常な災害に見舞われ、誰もが恐怖と衝撃に襲われている発災当日に、その被災者の身を案ずる言葉も一言もなく、破壊された被害の諸々を「廃棄物」と表現した小泉大臣の非常識すぎるその感覚は全く理解不能です。点としての自分の職務以外の事ことは全く目にも入らないということなのか、とても気になります。

おそらくこの非常識さは、根本的には小泉大臣個人の資質に起因していると思われますが、菅政権下での政権運営からも多少なりとも影響を受けているのではないかとも思われます。というのは、菅政権では、新型コロナという人類史上例のないパンデミック対応では、終始、関係閣僚だけを集めた五大臣会合(菅総理、加藤官房長官、田村厚労相、西村経済再生担当相、赤羽一嘉国交相の5名)だけで全てを決めているからです。しかも官僚まで排除した、いわば私的会合めいた組成になっているらしい。以下の記事を参照。

「5大臣会合」に「儀式」…菅政権のコロナ対策で起きていること 山田勇 2021年5月26日 FFMプライムオンライン

私的な会合なので議事録もなし。死者も重症者も多数出しているコロナ対策会議の議事録が、全く残されていないとは余りにも異常。

さらに、なんでオレが入ってない…新型コロナの「重要会議」から外された河野太郎が拗ねてい 2021.05.22 週刊現代 という記事もあります。

菅総理は、国民の命に係わるコロナ対策会議に、いくら自分の意に添わなくなったからとはいえ、自らコロナワクチン担当大臣に選んだ河野大臣を呼ばないとは、余りにも私的感情を優先しすぎ。

菅政権のコロナ対策には整合性の取れていないとの印象を持っていましたが、この二つの記事を読めば、根拠のあることが分かります。官僚も排除した私的な会合で、菅総理の思い付きで対策が出されていたわけです。菅総理が政策のヒントを得ようと、個人的に民間人と会談するのは意義のあることだと思いますが、個人的な思い付きだけで次々と新しい対策を出すのは、現場を混乱させるだけ。

コロナ対策には自衛隊も関係していますし、コロナ自粛で経済的な打撃を受けている国民や企業の実態把握も必要。時間とともに変化する各自治体での、対応状況も把握する必要があります。コロナ禍下での学校現場の様子も絶えず把握する必要がありますし、災害との複合被害も頻繁に発生しており、国交省外の省庁との連携も欠かせないと思います。そしてどんな対策にも巨額の予算が必要です。

つまりコロナ対策は私的会合だけで済むような軽い問題ではないということ。内閣挙げて取り組むべき重大事だと思われますが、菅政権下では、官僚まで排したお手軽会合で処理を続けてきたということです。これでは、五大臣以外の大臣は関係ないという意識が、他の大臣にじわじわとしみ込んでいったとしても無理からぬことだと思われます。

小泉大臣の超非常識発言は、ご本人の資質に加え、自分の足元だけを見てろ!という、菅政権の暗黙の掟に忠実に従ったものだというのが、事の真相だろうと思います。

官僚まで全て排除した究極の私的メンバーだけで話をすれば、簡単、楽でしょうが、会議録も何も作成しない、完全に閉ざされた空間でなされる政権の私物化です。目下、飲食業界の怒りを買っている、金融機関を使って、自粛違反の店を摘発しようという案も、菅総理の私的会合で決めたものらしく、対応がめちゃくちゃ。批判を浴びれば、総理は我関せずとばかりの言い逃れ。議事録などない私的会合なので、言い逃れも可能。

菅総理は誰に邪魔されることない政権トップの座に座り、私的な政権運営環境を構築。これまで以上に、利権の私物化を図っているのではないかと疑わずにはおられません。しかし菅総理の私的な政権運営の実態については、先にご紹介したFFMプライムオンライン以外には皆無のようです。「五大臣会合」を開いているとは見聞きしていましたが、コロナ対策が全て五大臣会合だけで決められてきたとは、つい先ほど上記の記事を見るまでは全く知りませんでした。

関係閣僚の五大臣会合が頻繁に開かれるのは当然だとしても、この重大なコロナ関連対策に関しては、内閣挙げて取り組むべき問題ですので、全大臣がそろって協議する会合も開催されているとばかり思っていました。しかし五大臣会合だけで全てを決めていたとは!!!

目下大紛糾している、菅政権による「酒類」のみに照準を当てた攻撃は、西村大臣単独で決めた方針ではなく、実施するために関係省庁にも連絡が渡り、官邸挙げての決定だったとのことも報じられています。菅総理の関与なしに西村大臣単独ではありえぬことは明白ではないですか。この無政府状態に近い混乱も、菅総理の内閣の私物化、政治の私物化に起因していることも明々白々ではないですか。菅総理の関与を裏付ける会議録がないということが、愚かな紛糾を倍加させているわけですが、政治の私物化を可能にしている菅総理の政権運営そのものを暴露した報道は皆無に近い。

この体制下では、公共事業の利権化も、菅総理の思いのままではないですか。ご自身の支持者である東北新社や食べログへの利権提供は、よくある政治家の利権漁りよりはるかに重層的で利権の私物化が極度に高い。民間人であるご長男による総務省の私物化。東北新社と食べログ間での利権の循環と、この利権の循環がご長男の仕事と地位を保証。想像を絶するような利権の回し合い。

ご長男による長年にわたる総務省の私物化がこれまで全く問題にならなかったということは、歴代総務大臣はもとより、総務省の官僚に対する菅氏の睨みのすごさを物語っているはずです。総理大臣の座についた今は、全官僚を排除するまでになっているわけです。そして、五大臣以外の大臣まで排除。

しかしマスコミはなぜか、菅総理の政権の私物化については、ほとんど報道していません。総務省の私物化も官僚が処罰を受けたただけ。

対照的なのが、先日議員辞職した菅原一秀氏。罪状は地元の祭りに寄付したことと、地元関係者の葬儀に、ご本人が参列せずに秘書が代わりに参列し香典を渡したことが、公職選挙法違反に当たるとのことで起訴→不起訴→検察審査会が起訴要求→検察が起訴→菅原氏辞職という流れになっていますが、祭りに寄付したことが罪になるという点には、大いに疑問を感じます。

この事件に関してRKBラジオで、元「サンデー毎日」の編集長が、祭りに寄付をするなんて前時代的だ、菅原氏の地元の練馬区は封建的な土壌が残っているという趣旨の発言をしていたことには心底驚いてしまいました。日本人は古来より祭り好きであることはあらためて言うまでもありませんが、お祭りは理屈抜きで人々を陽気にしてくれる楽しい行事であることを否定する人は、この元編集長以外にはいないと思います。

博多山笠のような有名なお祭りだけではなく、日本全国津々浦々で毎年行われる数々のお祭りは、地域を元気にしてくれる最高のカンフル剤です。しかしこれらのお祭りは大小の規模にかかわらず、かなりの費用がかかりますが、どこともその費用の大半は寄付によって賄われているはずです。自治体からの支援(寄付)を受けるところもあるでしょうが、主催者、参加者自らの寄付も含めて大半は民間からの寄付のはず。

しかしただ観るだけの一般市民が寄付をする例は少なく、企業や商店や地元の有力者による寄付が大半だと思います。この寄付がなければ、祭りを行うことはできません。地元の有力者の中には、地元選出の議員さんたちも当然入っていると思っていましたが、それが罪になることを初めて知って驚いています。

実は今年の博多山笠は、コロナで山をかいて走る舁き山は昨年に続き中止になりましたが、飾り山はすでに市内各所に飾られています。ところが、コロナ自粛で飲食店がほぼ全滅状態の中州では、飾り山の準備もできませんでした。閉店した店もある上に、山を作る費用も出ないという窮状にあるからです。

もうこれを機に前近代的な山笠なんか止めて、商売に専念したらどうかと、元編集長さんなら言うかもしれませんが、こんな声かけが中州の人々を元気にするでしょうか。元気にするはずはありません。この窮状を救おうと寄付が集まって、せめて飾り山を中州のメインストリートに飾ることができれば、そちらの方がよほど中州を元気にすると思います。しかし山笠ももう明日(7/15)で終わり。今から寄付も集められません。

つまり祭りは寄付なしには実施できないということです。地元の政治家が、お祭りにいくばくかの寄付をすることがなぜ極悪な犯罪になるのか、わたしには全く理解できません。

菅原氏は菅総理のお気に入りだったとの話もありますが、どちらが政治の私物化で有権者に被害を与えているかは明白です。親子そろって、公的利権を私物化した菅総理は全く何の処罰も受けず、地元にささやかながら寄付をした菅原氏が罰せられ、議員辞職するというこのアンバランスは、日本の法律の公正さそのものを疑ってしまいますね。

菅原氏が処罰を受けたことから、日本中の国や地方の議員さんたちがお祭りにも1銭も寄付をしなくなるのではないかと心配です。野党のみなさんはお祭りに1銭も寄付したこともないのですか。地元への寄付も、無制限にすると歯止めがなくなる恐れもでてきますので無制限にはできないにせよ、政治家とお金をめぐる対照的な事例、菅総理と菅原一秀氏というお二人を眼前にして、政治の私物化の実相についてあらためてお尋ねする次第です。

博多山笠・飾り山笠
2021/07/05 2021年の博多祇園山笠の主役は福岡市内12ヶ所に登場する飾り山笠! (福岡観光コンベンションビューロー)
福岡市西区の愛宕神社「結びの祭典」
福岡市西区の愛宕神社で7日、さまざまな願い事が書き込まれた七夕の短冊を奉納する「結びの祭典」があった。 5月下旬から開かれてきた「愛宕神社七夕祭り」を締めくくる神事。境内の神竹に結ばれた約100枚の短冊の願い事が天に届くよう神職が祝詞を上げ、鈴で清めた。また、静岡県熱海市の大規模土石流による被災者の発見救出に祈りを込め、みこの松尾萌恵さん(20)が舞を奉納した。(西日本新聞