豪雨と吉備真備
異常気象という言葉が無意味になるほどに異常気象が日常化していますが、この「異常」さが天然自然のものなのかどうか、諦めずに問い続ける必要があります。直近の台風12号は東から西へという、専門家もきわめて稀だ(前例がない)というほどに超異例のコースを辿りました。折も折、12号接近時は、苗場でフジロックフェスティバル(27日ー29日)が開催されていましたが、何と今年のフジロック最終日の29日には、ボブディランが初出演したという。日本での公演は101回目になるそうですが、ノーベル文学賞受賞後は初来日、フジロックには初出演という初物尽くし。
超話題になっていたと思われますが、わたしは台風12号関連のニュース検索で初めて知ったばかりで驚いています。ボブディランのフジロック出演は今年の3月に発表され、話題になったそうですが、わたしが主たる情報源としている読売新聞とNHKラジオでは、全くこのニュースを報道していなかったからです。読売新聞は公演後の同日の夕刊で、小さな囲み記事で初めて報道していましたが、なぜ事前に報道しなかったのでしょうか。NHKラジオは、わたしが聞いた範囲では事後も全く報道していません。
実はボブディランは訪日直前の27日には、韓国で2回目の公演を開催したという。西日本豪雨被害にダメ押し的な打撃を加えるはずであった台風12号は、太平洋上で25日に発生後は超異例のコースを辿って日本に接近しましたが、その理由は、韓国でのボブディラン公演が、まかり間違っても台風や豪雨被害に遭う怖れは皆無のコースとして設定されたからではないか。その一方で、日本のフジロックは豪雨で襲う。事実フジロックは毎年のように豪雨に襲われていますが、今年は幸いなことに、最終日のボブディラン出演時は降雨はなかったという。ちなみに韓国でも毎年ロックフェスティバルが開催されていますが、韓国ではおそらく豪雨被害には襲われていないはず。
台風12号は、フジロックのみならず夏のイベント真っ盛りの週末に、関東地方と西日本両にらみコースで影響を与えるべく、超異例のコースを辿ったわけですが、無理矢理作り出したからか、目がないという姿形まで異例な台風になりました。しかし福岡市では台風12号による風のおかげで、高温のわりにはやや過ごしやすい日々が続きました。のみならず、「快晴」であるにもかかわらず、夜昼なく空を覆っていた薄い灰色の膜が消え、久々に夏空らしい青空になっています。12号接近間際、非常に幅広のケムトレイル(筋雲)が現れましたが、その太い筋雲の下を赤い雲と黒雲(なぜ赤い雲と黒雲が同時発生するのか?)とがそれぞれ塊をなして並んで、時にくっつきながら、かなりの速さで流れていきました。その後も数日、快晴と全天灰色とが交互に繰り返されつつも、風の吹く日が続いたせいか、夜も昼も空を薄く覆っていた靄(モヤ)、霞状の膜が消え、快晴と呼ぶにふさわしい青空がやっと現れたというわけです。
霞状の膜が消えたことで、「快晴」であるにもかかわらず、霞状をなす物質で空中が覆われていたことが改めて確認できました。PM2.5や黄砂の飛来もないにもかかわらず、なぜ霞状の物質が空中に発生するのか。天然自然によるものではないことは明らかです。わたしも
Why in the Word are They Spraying? を見るまでは、晴れてても夜、星が見えないなあとかなり前から感じていましたが、格別に気にもとめていませんでした。しかしケムトレイルが、雨のタネになるヨウ化銀だけではなく、様々な物質を噴霧していることを知ったことで、晴れていても夜空に星が見えない理由が分かりました。噴霧された物質が薄い灰色の霞状の膜となって空を覆い、月光を遮断するほどではないものの、星の光は遮断されていたということ、つまりは人為的な現象であることに気がついた次第です。
ところで、青空になったのもつかの間。午後から空が灰色に覆われ始めました。それから間もなく、突如大雨が降り始めましたが、雨は数分で止みました。雨の後は、降雨前よりは霞みながらも薄い青空が広がっていますので、夏特有の夕立だといいたいところですが、従来の夕立とは全く違います。夕立とは、晴れて空は青空なのに突如地域限定で大雨が降る現象ですが、現在の「夕立」は、全天が灰色の雲に覆われた後に大雨が降り始めます。その後、全天を覆っていた雲が消えるとともに雨も止みます。実は、数日前にも全く同じような、全天が雲に覆われた後に降る「夕立」現象が発生しました。この日は筑後地方に竜巻が発生したとのことで雷も鳴りましたが、雨はほどなく止みました。その後、灰色の膜状の雲も消えましたが、これらの「夕立」現象は、夕立ですら、従来の天然の夕立とは異なっていることが分かります。
以上は、ここ1週間余り、ヒマを見つけては観察した夜、昼の空の様子です。どこでも誰もが頻繁に目にしているケムトレイル一つとってみても、近年は天空に人為的に粒子状のものが噴霧されていることは明らかです。かつては工場地帯を中心に、有害化学物質が霞状になって天空を覆っていたわけですが、これらは公害とみなされ、反公害闘争が各地で起こりました。しかし、現在の天空を覆う化学物質については、その存在すら見ざる、言わざる、聞かざる状態。専門家すら見て見ぬふりをしています。ましてやその正体を調べようという動きすら皆無。
それどころか、連日の超高温状態がつづく異常さが問題になっているさ中、某著名なお天気予報士は、平安時代も今のような40度前後の高温がつづいていたという新説(珍説)を披露。その根拠として、徒然草の「家のつくりやうは夏を旨とすべし」というフレーズを挙げているのをRKBラジオで聞き、ビックリしました。徒然草は鎌倉時代に成立したもので、時代的にもかなりはずれていますが、時代的ずれ以上に、このフレーズは、むし暑い夏を過ごさざるをえない日本では、一般家庭にエアコンが普及するまでのつい最近までは真理であったはずです。
この程度のことは日本人なら誰もが知っている常識だと思いますが、わたしは天気の専門家がこれほどいい加減なのかと衝撃を受けました。しかしさらに続きます。異常気象がテーマであった今週のNHKの日曜討論でも、専門家の一人は、今のような異常気象は昔から繰り返されてきたものだと、事もなげに発言していました。日本の気象専門家の中には、非科学的な人が多いことには驚愕しました。
近年の夏は高温化しているとはいえ、今年の超高温は前例のないことは、データとしても裏付けられていますが、異常高温は日本だけではなく、アメリカの一部や北欧やカナダなども同様だという。となれば、今年の異常高温は日本だけではなく、世界規模で発生している現象だとして何となく納得してしまいそうです。しかし、大気温をかつてないほどの高温にしているその熱源は何でしょうか。基本は太陽以外にはありませんが、太陽から地球に届く熱量が激増したという異変の事実はありません。あれば世界中、大騒ぎになっているはずです。とすると、残るは人工的なもの以外にはありません。
人工的といえば、二酸化炭素(CO2)の増加による地球温暖化が原因だと単純に解説されますが、近年、CO2が激増したという事実はないはずです。人口増や森林の伐採はCO2増の原因にはなりますが、これだけでは全球的な激烈な気候変動は起こらないはず。仮に温室効果ガスのCO2が原因だと仮定しても、専門家が指摘するように、CO2が太陽熱の大気圏外への放出を遮断して高温化が進んでいるのであれば、CO2は太陽光が地球に届くのも遮断しているはずです。宇宙からはCO2の壁をドンドン突破して太陽光が地球に大量に届くにもかかわらず、地球から宇宙に向けて熱を放出する際には、CO2が壁になって大気圏外には出ないというのは何か不可解ですね。両者の熱放出力の違いによるものですか。しかしCO2の壁で地球の大気が完全に覆われているのであれば、全球が高温になるはずですが、異常の発生は北半球に集中しています。しかも地域的偏りがあります。
日本列島周辺の海域は高温化していますが、この熱源は何ですか。天然の現象ならば太陽以外にはありえませんが、なぜ近年になって、太陽は日本列島の海域に集中して熱を送っているのでしょうか。太陽にいかなる変化が生じて、日本列島の海水温を上昇させるメカニズムを持つに至ったのでしょうか。温暖化によるものだ、専門家からはこの答えしか返ってこないでしょうが、専門家ならば、もっと厳密かつ科学的に考えるべきだと思いますが、日本の科学者はオウム返し学者が余りにも多い。彼ら「オウム」たちに教えている尊師は誰なのか。
今年の異常高温も含めて近年の異常高温は、この高温化をもたらす熱量の総量としては、太陽から届く熱量の総量をはるかに超えているのではないか。人工的に加えられたものとしても、通常の人間の生産活動からは放出不可能なほどの莫大な熱量です。気象改変には、ケムトレイルによる化学物質の噴霧だけではなく、気流を動かすための人工的な高エネルギーの放射も不可欠です。HARRPが有名ですが、HARRPか類似の装置によって発せられる電磁波エネルギーは、狙った特定地域を高温化させるだけではなく、この装置設置の周辺地域一帯をも不可避的に高温化させているのではないか。これほど異常な気象に襲われ続けているというのに、気象兵器、気象改変に関する一切が、ネット以外の公の場で完全にタブー視され、羊の群れのようにモノ言わぬ国民は日本以外にはないと断言します。米中は気象兵器分野でも激しい覇権争いを展開しているというのに。(参照:
気象コントロール戦争レースの行く末は)
5000億円もの巨額の税金を投じて(アメリカに献納して)手に入れた、イージス艦で日本を護れると考えているらしい日本政府・安倍政権が余りにも哀しい。中国は、1000機ものドローンを一気に操作する技術を確立し、まずはその技術をイベントで披露していますが、当然のことながら即軍用に転換可能。1000機ものドローンの一気操作はアメリカでも未開拓、中国のみ成功していますが、無人ドローン1000機で襲撃された場合、高性能で高価なイージス艦も対応不可能になるのではないか。しかも1000機が2000機になる可能性もゼロではありません。また中国は、海中ドローンもすでに開発しています。これらのドローンもAIの塊ですが、中国は小学校からプログラミング教育が導入されています。
海外にちょっと目を転ずるだけでも、日本人の無知とナイーブさがさらに際立ってきますが、政治家を含む日本人の無知とナイーブさは、マスコミが主導する「見ざる、言わざる、聞かざる」バリアによって生み出されたものでもあるわけです。大手マスコミが事実を事実として報道すれば、日本国民はもとより、外国政府への忖度度が異常に高い日本の政府や政治家も、現実を直視せざるをえなくなりますが、日本のマスコミは事実を隠蔽しつづけています。
日本のマスコミの「見ざる、言わざる、聞かざる」バリアはなぜこれほど異常に強いのか。その理由を探るためにも、最近の異常気象を再度検証することにいたします。台風12号の超異常コースの背後事情はすでに見てきましたが、その直前の西日本豪雨を見ることにいたします。西日本豪雨での最大の被害地は岡山県倉敷市の真備町です。実はこの真備町は、奈良時代を代表するあらゆる領域に精通した万能の学者であり、公卿でもある
吉備真備の出身地です。吉備真備は遣唐留学生として唐に渡り、716年から735年の19年間も唐で儒学、兵学、天文学、音楽などを学び、帰朝時にはそれらに関する膨大な量の中国の典籍や器物や楽器などを持ち帰り、奈良時代の文化形成に多大な貢献をした人物です。
この真備の何が問題なのでしょうか。
吉備真備の「世界大百科事典第2版」に詳しく紹介されている、真備が唐から持ち帰った文物を見ると、奈良時代の文化、社会の形成には中国唐の影響が多方面に渡って及んでいたことが改めて分かります。しかし昨今の日本の古代史研究では、奈良時代の文化も韓国(当時は新羅)が作ったとの韓国流謬説が幅をきかせています。ということで、日本が中国の先進文化文物を直接摂取して、中国文化の強い影響を受けながら、日本的文化、社会を形成していったという資料に基づく従来の解釈は抑圧、排除される流れができてしまっています。以前にも紹介しましたが、九州国立博物館の常設展示場には、遣唐使の模型展示コーナーがあります。日本が中国に献上した品々と、遣唐使が中国から持ち帰った様々な文物が左右に分かれて展示されているのですが、帰国の船には中国の書物が山積みされていました。
これは日本の使者が中国から大量の書物を持ち帰ったという日中双方に残る史料に基づく立体展示ですが、わたしがこの展示をサイトで紹介して以降に同館を訪れると、この展示に大異変が起こっていました。帰国の船から書物が全て消えていたのです。それまでは何時訪れても、帰国の船には書物が山積みされていたのですが、わたしのサイトを見て、こんな展示のあることを知ったある筋から、書物を全て消せとのお達しがあったのではないかと思われます。それ以外に、学芸員が自ら進んで史実を完全に無視した大変更をするはずはありません。
遣隋使や遣唐使の派遣事業そのものが、日本がいかに中国の強い影響下にあったかを示すものですが、非常に広範囲に渡る吉備真備が持ち帰った唐の文物は、その中国の強い影響の個々具体相をより強く印象づけます。しかも真備は唐で兵学を学んでいたこともあり、当時の朝廷が新羅の襲来に備えて、真備に対して現在の福岡県糸島市にヤフオクドームの20倍もあるという巨大な山城、怡土城を築かせています。福岡ではこの怡土城築城の目的(新羅の襲来防御)は不自然に隠されています。真備は何重にも渡って、日本文化は韓国が作ったという昨今幅をきかせている謬説の流通にとっては邪魔物でしかありません。真備が持ち帰った唐の文物などは、東京や奈良などに保管されていると思われますが、関連資料は地元にも残されていたのではないか。この豪雨被害で真備町の図書館も民俗博物館も水没し、史書にもその名をとどめる非常に古い歴史をを持つ同町の、貴重な資料群も水没したという。
しかも広島、岡山などの中国地方には、非常に豊富な弥生時代の遺跡類が多数存在します。この地方は、どう捏造しても朝鮮半島と関係があったと主張しうるモノがほとんどありません。つまり、この地域一帯そのものが、日本文化は韓国が作ったという謬説を主張するには邪魔物だということです。福岡県の筑後や筑豊地域にも、韓国にはまったく存在しない古代遺跡が多数存在しますが、この地域は同時に豊かな穀倉地帯、農業地帯でもあるわけです。現代同様、古代においても農業(稲作)に適した地域に人々が暮らしていたことが、これらの遺跡からも読み取ることができます。しかし繰り返し繰り返し襲う異常豪雨は、地域丸ごと古代遺跡を破壊しようとしていますし、一部では破壊に成功しています。
もう一点、自然災害ではありませんが、最近、似たようなニュースがありました。細川元総理が理事長を務める永青文庫が所蔵する漢籍4175冊を中国に寄贈したというニュースです。永青文庫は細川家が収蔵している日本や東洋の古美術や古文書を保存管理している財団法人ですが、そのコレクションの中から、いくら元の持ち主に返すとはいえ、漢籍4175冊もを中国に寄贈するとは驚くべきニュースです。しかしこれも例に漏れず、読売新聞は一行足りとも報道していません。NHKラジオも然り。わたしは偶々ネット検索をしていて、このニュースを少し揶揄するような記事でこの文化大事件知ったのですが、一般マスコミでは日経だけが簡単に報じているだけで、他は完全に無視しています。なぜか。改めての説明は不要だと思いますが、要点だけ記します。(参照:
日本の永青文庫が中国国家図書館に漢籍4175冊を寄贈 北京で式典)
1 本家中国にお返しするとはいえ、4175冊もの漢籍をポンと寄贈するとは、細川家が所蔵する漢籍だけでもがいかに膨大なものであるかが、素人にも分かります。
2 細川家が所蔵する中国の文物だけでも膨大であるということは、日本全体で所蔵する中国の文物の膨大さは、おそらく素人には想像することすら難しいほどではないか。事実、細川家が今回中国に寄贈した漢籍は全て、日本国内の他の機関や大学等にも収蔵されており、細川家にしかないという漢籍は含まれていないという。
3 この多数の中国への漢籍寄贈ニュースは、日本ではいかに膨大な数の中国の書物が、営々と読み継がれてきたかを改めて思い知らされるきっかけになりました。つまり、近代以前の日本は、古代においてはもとより、西洋文明の流入後はそれと併存させつつも、いかに強く中国文化の影響を受けていたかを、国内外に知らせるニュースであったわけです。
このニュースは、日本文化は韓国が作ったという謬説を一気に吹き飛ばす威力を持っています。マスコミが完全に無視したゆえんです。しかし韓国はいかなる手段を使ってでも、この謬説を日本に定着させ、世界に広める工作を貫徹させるはずです。その有効な手段の一つが気象兵器ですが、韓国単独ではこの新鋭兵器は使えません。アメリカの悪徳勢力と結託しているのは明らかです。アメリカの悪徳勢力には、世界農業の支配を目論むモンサントだけではなく、漁業関係者も含まれているはずです。日本の漁業は、3.11ではなく、その後に頻発し始める超豪雨などの異常気象の間断なき襲撃を受け、漁獲量が激減し、アメリカなどから輸入した水産物の加工にシフトする例も多々出ているからです。
アメリカ政府が気象兵器を使って日本の気象を操作しているかどうかは分かりませんが、少なくとも、アメリカ政府(軍)が開発した気象兵器の技術を、民間企業が利用することは認めているはずです。日本では気象兵器は猛烈なタブーになっていますが、気象の人為的操作が可能であることは、1976年、国連で気象兵器禁止条約(
環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約)が締結されたことからも明らかです。
締約国は124カ国、条約の発効は1978年、日本は1982年に加入しています。
1984年と1992年の2回、この条約の改正検討会議が開催される。改正には至っていませんが、2回も検討会議が開かれたということは、国際社会には気象兵器に対する懸念があることを示しています。恐らく、規制の強化にはアメリカが反対したのでしょう。
この条約の目的は、上記リンク先にもあるように「現在あるいは将来開発される技術により自然界の諸現象を故意に変更し(例えば地震や津波を人工的に起したり台風やハリケーンの方向を変える)、これを軍事的敵対的に利用すること」を禁止することにあるという。つまり、気象改変装置を平和利用することや、国土・国民の安全に資する利用は認められているということです。つい先日、気象庁はスパコンを使って、異常気象の予測精度を高める方針であることを明らかにしましたが、予測精度を高めるだけではなく、異常気象を他国に害が及ばないような方法で減衰ないしは日本への襲来を阻止する技術の開発に力を注ぐべきです。世界では気候を操作する技術を研究する、ジオエンジニアリング(地球工学)が存在するわけです。国連禁止条約でも、他国に害を与えなければ気象操作技術の研究開発は禁止されていません。アメリカ政府が禁止しても、日本政府は断固無視すべきです。
ただ今の大学には、政府と文科省の愚かな監視が強化される中で、こうした研究の自由があるのかどうかが問題です。政治家や官僚の恣意的介入を避けるためにも、選別なしに研究予算は全て大学に配分すべきです。また選別には、事前事後ともに多額の予算と膨大な事務仕事が発生します。これほど無駄なことはありません。政府や官僚に認められた研究以外には研究できないという愚かな縛りは解除し、大学では自由に研究することができる環境の回復は不可欠です。AI研究でも、特定のトップ校だけではなく、全大学で研究ができるようにすべきです。
例えばAI研究のタネにしても、特定の高度な領域のみならず、生活の様々な領域にも無数に転がっているからです。文科省や経産省は特定の企業と組んで新製品開発に力を注ぐのではなく、大学や企業での研究開発がスムーズに進むような環境整備、人材育成や指導者の確保、あるいは法整備などを先んじて進めることこそが、まず第一の任務ではないかと思います。そうした判断のできる政治家や官僚を含めた日本人の人材育成そのものが、世界標準からは20年くらい遅れているという悪循環に陥っていますが、時間が経てば経つほど、このループから抜け出すことは困難になります。
具体的にはIT・AI教育ですが、人材育成を放棄してきましたので、今すぐ指導者を確保することはほとんど不可能です。この際教諭免許の枠をはずして、企業を退職した技術者や情報工学系や数学系の大学生や院生なども積極的に活用すべきではないかと思います。すでにプログラミング教育を実施している塾などの力も借りてもいいのではないか。教科としての厳密な評価も現段階では不要。興味を持った子どもたちは、自ら進んでその先を選択することになるはずです。義務教育ではその苗床のような役割が果たせればいいのではないでしょうか。